「一ミリの後悔もない、はずがない」女性におすすめ、絶対読んで!

久々に小説で号泣した。

「一ミリの後悔もない、はずがない」

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ネットで椎名林檎が絶賛しているというのを聞いて、一部ネットで無料公開をしていた「西国疾走少女」を読んだ。

新潮社ページから、「西国疾走少女」冒頭が読めます⇒こちら

初恋の様子が切なくて、男子中学生の桐原が色っぽすぎて、ぜひ全編を読んでみたいと思って図書館で予約をしていた。

数カ月前に予約をしていて、2週間前やっと私の手元に届いた。

平日の仕事終わりに自分の部屋で一気に読んで、嗚咽をあげながら号泣した。

泣きすぎて次の日目が腫れた。頭が痛くなるほど泣いたのは本当に久しぶりだった。

思わずアラサーの女友達(一人は結婚して1歳弱の娘がいる。もう一人は彼氏と2年ほど同棲中でもうすぐ結婚かな)にラインで「めっちゃおすすめだからぜひ読んで!」と伝えた。

仕事で嫌なことがあったのだけれど、「一ミリの後悔もない、はずがない」の世界に没頭しすぎて、リアルな悩みを忘れることができた。

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あまりにも心を揺さぶられたので、2週間ほど寝かせて、昨日また読み直してみた。

ネタバレしない程度に、おすすめ紹介文として書き残そうと思う。
主人公は由井(ゆい)。

最初は姓名の名の方が「ゆいちゃん」なんだと思っていたが、学校の体操服などの持ち物に「由井」と書いた。という記述などがあったので、苗字だったのかな。

読み直したら、父や家族からは名前で呼ばれておらず、「由井」は苗字説が私の中では濃厚になった。

「一ミリの後悔もない、はずがない」は全5編が収録されていて、noteで無料公開している「西国疾走少女」は唯一主人公の由井目線で描かれている篇だ。

「西国疾走少女」は大人になって結婚した由井が、ふとした瞬間に中2から高1まで一緒だった桐原のことを思い出している。

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西国疾走少女:由井目線
ドライブスルーに行きたい:ミカ(由井・桐原共通の友達)目線
穴底の部屋:泉(ミカが憧れていた高山先輩の不倫相手)目線
潮時:雄一(由井の旦那)目線 + 加奈子(由井・桐原・ミカの同級生)目線
千波万波:河子(由井の娘)目線 + 幸太郎(由井の友達)目線

詳細は書かれていないのだけれど、家庭やお金の事情で決して「幸せ」とは言えない状況にいた中学生の由井。

桐原というクラスメートの男子と恋に落ちる。

その恋がとっても切なくて、終わりもさらにとっても切ない。

由井や桐原の周囲の人たちの目線で描かれた篇が混ざっていて、登場人物はところどころリンクしている。

本では10%の記述で、残りの90%は読み手が想像を膨らます余地を残してくれている。

以下は読んだ人に、ぜひ一緒に考えてみてもらいたい内容を書いてみる。

桐原目線での記述がない。

大きくてきれいな家に住んでいて、裕福に思える桐原。

でも桐原は中学の途中に私立から転入してきたり、由井に「お父さん何してる人なの?」と聞かれて「知らない」と流したり…

由井目線のエピソードの中で、確か中3の始業式に「桐原が休んでいてつまらなかった」とあったのにも気になった。

桐原にも何か、家庭の事情とかあったんじゃないかなぁと。

困窮していた由井にとって桐原が救い・光であったように、桐原にとっても由井はそんな存在だったんじゃないかなぁと勝手に想像してみた。

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ラストのページに書かれている内容が本当に泣けるのだけれど(今ブログを書いていてまたウルウルしてきた)、由井に対する桐原の切実な想いをくみ取れるそのラストのページを読んでいると、

単なる「男子中学生・高校生の恋」で片づけてしまうには、桐原の由井への想いは切実すぎる。

由井は幸太郎たちのもとを去ったあと、大学や就職してから、桐原を探しに行かなかったのかなぁ…?

「前の家の近くに引っ越した」という知らせを、数十年後の時を経て桐原から受けた由井。

前の家に実は会いに行ってたけど、近所に引っ越してた桐原に会えなかったんじゃないかなぁと想像してみる。

桐原目線の続編が読みたい。

「冷静と情熱のあいだ」にあおい目線の赤と、順正目線の青があったように、桐原目線を読んでみたいなぁ。

先ほども書いたけれど、由井と桐原の物語の、ほんの10%しか描かれていないように思う。

周囲の人物目線のエピソードの中に、ふたりの様子がパズルのピースのようにぱらぱらと出てくるのだけれど、それは補足にしかならない。

残りの90%は読み手が想像を膨らませられるように、意味深な記述がちりばめられている(国分寺から幸太郎のお母さんのところに行くまでに、「島に住んでいた」というセリフがあるが島での生活は一切書かれていない。など)

桐原目線以外にも、幸太郎のお母さん安伊子さん目線も知りたいなぁ。

大人になった由井が幸太郎に再会した時に、「中学生の時大人はもう信じないって決めたけど、安伊子さんに出会ってこの大人は信じていいと思えた」みたいなことを言っていた。

間接的に安伊子さんが由井のことを助けてあげたエピソードは幸太郎目線で出てくるのだけれど(チョーカーを探してあげたとか、桐原への電話のエピソード[ラストに繋がる]とか)、あれだけ大人を信じず殻にこもっていた由井がそこまで言うのだから、きっともっと具体的に安伊子さんが支えになってくれたエピソードがもっとあるはず。

長くなってしまったけれど…

女性には絶対絶対読んでほしい。特に30代以上の女性に。

私はこれから「一ミリの後悔もない、はずがない」を図書館に返却して、読み直しように自分で購入しようと思う。

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